広島カープに復帰そして引退へ 新井貴浩

10月30日現在、広島とホークスの日本シリーズは盛り上がりを見せているが、それと同時に残されている時間は少しずつだが着実に減りつつある。

今シーズン限りで引退を表明し現役20年間でファンからも選手からも愛されている新井貴浩のプレーを見れるのはこの日本シリーズが最後であるからだ。

そんな新井貴浩の残り少ない時間をファンの方々が200%応援できるように、そしてプロ野球選手・新井貴浩のプレーを少しでも心に刻めるように私は記事を書く。

今回は金本知憲そして黒田博樹と「新井貴浩」を語るうえで絶対に外せないストーリーについて触れてみよう。

阪神時代の苦悩そして広島復帰への苦悩と男気溢れる新井貴浩とはどんな選手なのであろうか。

もう一度金本さんと一緒に阪神入団~自由契約まで

FA宣言をした新井は、広島時代に悪意ある冗談などでからかわれていたが新井にとって「兄貴」ともいえる金本知憲がいる阪神タイガースに移籍を決意する。

そして迎えた広島市民球場での古巣との試合、ブーイングを受けながらも3番一塁で出場し3打数2安打2四球と結果で黙らせる。

さらに移籍後ホームランが出ていなかったが、21試合目にしてファン待望の一発を放つと一気に勢いに乗り前半戦は2位巨人に13ゲーム差をつけるなど金本知憲と共に首位独走の立役者となる。

ところが前半戦終了間近に腰痛で一軍登録を抹消される。

しかし新井はこの年の北京五輪に「これで二度と野球ができなくなっても構わない」と腰痛をおして9試合全てで4番として出場する。

予選リーグの韓国戦では先制となる2ランホームランを放ち予選突破に貢献するも、この五輪中に腰痛が疲労骨折にまで悪化していることがわかり阪神に帰ってきてからの後半戦を棒にふるってしまう。

チームも新井の不在により得点力が激減し巨人に13ゲーム差をひっくり返され歴史的V逸となってしまう。

2009年シーズンは腰痛から復帰し全試合フル出場で15本塁打、82打点を記録すると2010年には金本のスタメン落ちをきっかけに4番に座り奮起し打率.311 112打点と自己最高の成績を残し、2011年にも打点王を獲得するなど阪神の軸としてフル回転する。

しかしこの翌年から歯車が狂っていく。

2012年に右肩痛の影響で打率.250 9本塁打 52打点と成績は悪化、2013年になってからはスタメンに名前が書かれないことも増え2014年には94試合の出場(主に代打)にとどまる。

年棒も大幅減で翌年も試合に出場できないことを感じた新井は新天地を求めて自由契約となる。

広島市民球場で阪神移籍後初打席のブーイング

21試合90打席目の川上憲伸からの移籍後初ホームラン

もう一度、空に向かって打とう!広島復帰そして引退へ

阪神を退団するもすでに37歳とベテランの新井を獲得してくれる球団があるのかと不安な日々は続いた。

ところが意外な球団から声がかかる。FAで出ていったにも関わらず古巣の広島が獲得に動いてくれたのだ。

新井は悩んだ、広島からFAで出ていった選手が古巣に帰ってくるなど国内では前例がなく「FAで出ていった裏切者がどの面を下げて帰ってくるんだ」ときついブーイングも覚悟しなければならない。

そんな時新井は同時期に広島を退団しアメリカにいた黒田に相談をする。

黒田の「お前なら大丈夫だろ、胸を張って帰れ」という言葉に背中を押され復帰を決断する。

年棒は阪神からの掲示が7000万だったのに対して広島はそれをさらに下回る2000万だったが新井はこの条件をすぐに受け入れた。

そして「今度は黒田さんの番ですよ」新井は黒田に行った。

黒田もメジャーで21億のオファー受けていたが広島に4億と1/5の年棒で復帰することを決める。

そして迎えた開幕戦は怪我でベンチスタートとなるが代打で迎えた初打席、ブーイングを覚悟していた新井を待ち受けていたのは大歓声だった。

この時新井は「あれは一生忘れられない、今度は自分がファンに恩返しする。もう一度空に向かって打とう!」と誓う。

新井は奮起し代打起用から4番に定着するまでに活躍する、規定打席にも到達し打率.275 出塁率.349とつなぎの4番としてチームを支える。

しかしこの年クライマックスシリーズ進出をあと一歩で逃す。

そして迎えた2016年シーズン、休養をとりつつも4番一塁としてチームを支え史上47人目の通算2000本安打を達成するなど打率.300 19本塁打 100打点 出塁率.370 長打率.480 OPS.850と全盛期並みの成績を残し25年ぶりのリーグ優勝に黒田と共に貢献し初めて経験する優勝の美酒に酔った。

2017年も若手の台頭で出番こそ減るがここぞという場面で頼りになる活躍を果たし球団史上37年ぶりのリーグ連覇を果たすが前年に引き続き日本一にはなれなかった。

そしてたどり着いた2018年、主に代打の切り札としてチームを支え続けリーグ3連覇に貢献するも9月5日に「若手が力をつけてきた今が潮時だと思う」と引退を発表し現役生活20年に終止符を打つことを決意する。

そして…

先日から始まった日本シリーズでは代打で登場すると球場が割れんばかりの大歓声につつまれる。

ヒットこそ出ていないが新井がベンチで盛り上げてくれるおかげで若手はグラウンドでのびのびとプレーできる。

広島の選手はこの日本シリーズにみな同じ思いで挑んでいる。

「絶対に34年ぶりの日本一になる。ファンのために、そして新井さんのために」と。

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